モータースポーツバリアフリー協会について

◆モータースポーツバリアフリー協会について

モータースポーツバリアフリー協会(略称MSB)は、公式・クローズドにかかわらず、障がい者が一般で開催される競技に積極的に参加することで、障がい者の「できる範囲」を伝えて周囲への周知・理解を得ることを主な活動としています。
障がい者が一般開催の競技に参加することによって、競技ルールを見直すきっかけを作り出すことになり、最終的に障がい者も一般のモータースポーツに普通に参加できるようなルール改訂が行われることを主目的としています。
私たちは、モータースポーツに関わる様々なジャンルに気兼ねなく障がい者が関われるように、「特別ではない普通の道」を作りながら、各ジャンルの開拓を進めてまいります。

◆バリアフリー化に必要なことは「障がい者のできる範囲を見せること」

最大の問題は、健常者にとって障がい者が「どこまでできるのか?」がわからないことです。レース主催者が競技に障がい者を迎え入れることができない理由は「障がい者のできる範囲がわからないから」です。
レース主催者にとっては、例えばもし最悪な状況になりそうな時に回避できる能力があるかわかりません。また障がい者に対して気も使うし、知識もないので、何をどこまで聞いてよいかもわからない状態です。
必要なことは「障がい者の方から自分のできる範囲を伝える」ようにしないと何も進まないのです。いくら口頭だけで「私はできる」と言っても伝わりません。「実際にやって見せる」ことがとても大事なのです。
もし自身がレースに出たいのであれば、自分がその競技に参加できる能力があること、最悪の事態を回避できる能力が備わっていることを、実際に見せなければいけません。そのためにもし腕力や体力が必要ならば、そういう練習や努力をしなければいけません。

◆そこに「甘え」や「わがまま」が見えるか。

障がい者がモータースポーツに出場するには、周囲からいろいろな配慮がいただけたり、最低限のお願いをしなければならない場合があります。こういった好意に対して障がい者側に感謝が感じられない「甘え」や「わがまま」が垣間見えた場合は、残念ながら信頼関係は生まれません。
そういった地道な努力によって築いた信頼関係によって、初めてルールの見直しが始まります。そして既存のルールを見直す状況を作り出すことが、バリアフリー化の本質となります。

◆自動車は車いす。自動車レースは車いす競争。バリアフリー競技の可能性。

見方を変えると、自動車は「エンジン付きの車いす」と考えられます。
昨今の技術の進歩で自動車のMTとATの差がほぼなくなりました。それによりモータースポーツは「車いす競争」ということになり、健常者も障がい者も差がない本当の意味でのバリアフリースポーツになる可能性があります。

◆障がい者は万が一の火災が起こっても車両から脱出することができる。

障がい者でも万が一車両火災が起きた場合は脱出することができます。
規則上での基準は1分以内の脱出規定ですが、私たちは車両ドアからの脱出、及び車両窓からの脱出を30秒以内と決めて練習しています。
自分の命が助かるためには転がってでも脱出します。速い者はハーネスを締めた状態から4秒で車両窓から脱出できる者も現れました。

◆一般開催の競技に障がい者が混ざって参加することが重要

私たちは「一般開催の競技に障がい者が混ざって参加することが重要」と考えており、障がい者専用のカテゴリー設立は考えておりません。理由は一般競技への障がい者の参加は「一般競技のルール内での障がい者のできる範囲を伝える場」でもあるからです。
障がい者のできる範囲を実際に見せることにより、競技ルールの改訂すべき部分が見えてきます。
その際、一人一人の障がい者ドライバーは、マナーはもちろん、危険なくフェアなレースを心掛けることで、後進の道を閉ざすことなく周囲の信頼を得ることができます。
そして長く続けることにより障がい者が参戦していることが当たり前になり、一気にバリアフリー化が進むことになります。

◆活動を続けてみて

近年、富士スピードウェイをはじめ各サーキットで車いすの方をを見かけることに違和感がなくなってきたとの声をいただきます。
モータースポーツ界で何十年なしえなかったことが、ここ数年でかなりの変化を見せており、私たちMSBの考え方は間違っていなかったと感じています。
私たちはこの活動を通じて「正しいと思う一本筋の通ったことをブレずにやり続ける」ことが、結局一番の早道であったことを学びました。
是非、私たちの活動を見て何かを感じ取っていただけたらありがたいです。
良く考えてみると「障がい者の出来る範囲を伝えよう」というのは障がい者に限らず、誰でも出来ることと出来ないことがあり、どこの世界でも同じ事が言えるようなことでした。
もし私たちの考え方や活動がご自身のヒントになる場合があったとしたら、私たちにとってはとても幸せなことです。

モータースポーツバリアフリーレーシングチーム
バリアフリー隊隊長 佐藤和洋

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